PHP - WEB - 8. HTTPレスポンスの詳細
それではHTTPレスポンスの詳細について学習していきましょう。HTTPレスポンスもHTTPリクエストと同様に3つのパートで構成されています。
またヘッダフィールドとボディパートの間には空行によって分割されています。ここではGoogle Chromeに付属するデベロッパーツールを使って、先ほどの一覧を表示するプログラム( users.php
)の返却するHTTPレスポンスについて確認していきましょう。
まずはGoogle Chromeを起動してデベロッパーツール(Networkタブ)を開きます。次にビルトインWebサーバを起動した状態でWebブラウザから次のURLにアクセスします。
http://localhost:8000/users.php
そうするとデベロッパーツール上でHTTPの通信データのキャプチャーを取得できます。
表示されている users.php
をクリックして詳細を確認してみましょう。「Headers」タブに表示されている結果の中に「Response Headers」というセクションがあるので「view source」をクリックしてみましょう
レスポンスのヘッダフィールド(ステータスライン含む)が確認できるので表示内容をコピーしてテキストエディタに貼り付けてみましょう。
HTTP/1.1 200 OK
Host: localhost:8000
Date: Mon, 17 Aug 2020 10:33:02 GMT
Connection: close
X-Powered-By: PHP/7.3.11
Content-type: text/html; charset=UTF-8
ここまでがHTTPレスポンスのヘッダフィールド(ステータスライン含む)です。次にレスポンスのボディパートは、「Headers」タブの2つとなりにある「Response」タブで確認できます。
「Response」タブに表示されている内容をコピーして、さきほどのレスポンスのヘッダフィールドに空行を挟んで追加してみましょう。
HTTP/1.1 200 OK
Host: localhost:8000
Date: Mon, 17 Aug 2020 10:33:02 GMT
Connection: close
X-Powered-By: PHP/7.3.11
Content-type: text/html; charset=UTF-8
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>PHP Sample</title>
</head>
<body>
<h3>Users</h3>
<hr>
<table border="1">
<tr>
<th>NO</th>
<th>NAME</th>
<th>AGE</th>
</tr>
<tr>
<td>1</td>
<td>Andy</td>
<td>20</td>
</tr>
<tr>
<td>2</td>
<td>Betty</td>
<td>22</td>
</tr>
<tr>
<td>3</td>
<td>Carol</td>
<td>19</td>
</tr>
</table>
</body>
</html>
以上がWebサーバからのHTTPレスポンスです。Webブラウザはこのような通信データをWebサーバから受け取っているのです。
それではHTTPレスポンスの詳細について見ていきましょう。HTTPレスポンスの先頭行はステータスラインと呼びます。このステータスラインは以下の形式に従います。
HTTPバージョン ステータスコード フレーズ
さきほどのHTTPレスポンスの場合は次のようになっています。
HTTP/1.1 200 OK
この場合、HTTPバージョンは 1.1
、ステータスコードは 200
、フレーズは OK
と読み取ることができます。またここで登場するステータスコードおよびフレーズにはいくつかの種類があります。代表的なものを以下に示します。
200
:OK201
:Created302
:Found403
:Forbidden404
:Not Found500
:Internal Server Error503
:Service Unavailable
HTTPのステータスコードは正常な通信が行えた場合 200
など 200
番台の数値を返します。また通信時にエラーが発生した場合は 404
や 500
といった数値を返します。 400
番台のエラーはクライアントサイド(Webブラウザ)のエラー、 500
番台のエラーはサーバサイドのエラーを意味します。たとえば 404
:Not FoundというステータスコードはWebブラウザがアクセスしたURLに誤りがあることを意味します。これはクライアントサイドのエラーです。一方の 503
:Service Unavailable というステータスコードは、一時的にサーバの負荷が高まっているせいで応答できないことを意味します。これはサーバサイドのエラーです。
300
番台のステータスコードはリダイレクト(他のページへの移動)を意味します。これについては次の章で取り上げます。
次にヘッダフィールドが続きます。
Host: localhost:8000
Date: Mon, 17 Aug 2020 10:33:02 GMT
Connection: close
X-Powered-By: PHP/7.3.11
Content-type: text/html; charset=UTF-8
Host
ヘッダや Date
ヘッダなど様々なヘッダフィールドが存在するのがわかります。ここで特に重要なのが Content-type
ヘッダです。
Content-type: text/html; charset=UTF-8
Content-type
はレスポンスのボディパートに含まれるデータの形式を意味します。ここでは text/html;
と指定していることからボディパートにはHTMLコンテンツが含まれていることを指示しています。また charset=UTF-8
という記述からボディパートのHTMLコンテンツはエンコーディングが UTF-8
であることを指示しています Content-type
に指定可能な値の一部を以下に示します。
- text/html
- HTMLテキスト
- text/css
- CSSテキスト
- text/plain
- プレーンテキスト
- image/jpeg
- JPEG画像
- image/png
- PNG画像
HTTPレスポンスを受け取ったWebブラウザは、この Content-type
に指定されている内容をもとにボディパートを解析します。たとえば Content-type: text/html; charset=UTF-8
と指定されている場合、Webブラウザはボディパートに含まれているコンテンツをHTMLとして画面に描画します。
さいごにレスポンスのボディパートについて確認しておきましょう。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>PHP Sample</title>
</head>
<body>
<h3>Users</h3>
<hr>
<table border="1">
<tr>
<th>NO</th>
<th>NAME</th>
<th>AGE</th>
</tr>
<tr>
<td>1</td>
<td>Andy</td>
<td>20</td>
</tr>
<tr>
<td>2</td>
<td>Betty</td>
<td>22</td>
</tr>
<tr>
<td>3</td>
<td>Carol</td>
<td>19</td>
</tr>
</table>
</body>
</html>
ここにはPHPで生成したHTMLコンテンツが含まれているのがわかります。ヘッダフィールドにある Content-type
ヘッダはこのボディパートに含まれる内容がHTMLであることを意味します。
Content-typeの変更
ここではもう一つプログラム( users.php
)を修正して、 Content-type
ヘッダの挙動について確認しておきましょう。
<?php
$handle = fopen("users.csv", "r");
$users = [];
while(($line = fgetcsv($handle)) !== false) {
$users[] = $line;
}
fclose($handle);
header("Content-type: text/plain");
?>
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>PHP Sample</title>
</head>
<body>
<h3>Users</h3>
<hr>
<table border="1">
<tr>
<th>NO</th>
<th>NAME</th>
<th>AGE</th>
</tr>
<?php
for ($i = 0; $i < count($users); $i++) {
?>
<tr>
<td><?php echo $users[$i][0] ?></td>
<td><?php echo $users[$i][1] ?></td>
<td><?php echo $users[$i][2] ?></td>
</tr>
<?php
}
?>
</table>
</body>
</html>
このプログラムは先頭のPHPプログラムに header("Content-Type: text/plain");
を追加しています。 header
関数はレスポンスのヘッダフィールドを操作するための関数で、引数に指定した内容(この場合、 "Content-Type: text/plain"
)をヘッダフィールドに追加します。
プログラムを修正したらビルトインWebサーバを起動し、Webブラウザ上でデベロッパーツールを起動して以下のURLを入力します。
http://localhost:8000/users.php
そうすると次のような実行結果が表示されるでしょう。
Webブラウザ上でHTMLコンテンツが描画されておらず、テキストデータとして出力されているのがわかります。デベロッパーツールからHTTPレスポンスを調べると次のような通信データになっていることがわかります。
HTTP/1.1 200 OK
Host: localhost:8000
Date: Mon, 17 Aug 2020 10:48:49 GMT
Connection: close
X-Powered-By: PHP/7.3.11
Content-type: text/plain;charset=UTF-8
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>PHP Sample</title>
</head>
<body>
<h3>Users</h3>
<hr>
<table border="1">
<tr>
<th>NO</th>
<th>NAME</th>
<th>AGE</th>
</tr>
<tr>
<td>1</td>
<td>Andy</td>
<td>20</td>
</tr>
<tr>
<td>2</td>
<td>Betty</td>
<td>22</td>
</tr>
<tr>
<td>3</td>
<td>Carol</td>
<td>19</td>
</tr>
</table>
</body>
</html>
この通信データで注意してみてほしいのが Content-type: text/plain;
の部分です。このように Content-type
ヘッダの値が text/plain
となっている場合、Google ChromeはボディパートのコンテンツをHTMLと解釈せずに、テキストデータとして解釈するようになっています。そのため画面にはHTMLコンテンツは描画されずに、テキストデータとして出力されることになります。
利用しているブラウザの種類やバージョンの違いによっては異なる表示となる場合もあります。
まとめ
- レスポンスのステータスラインにはステータスコードを含む
Content-Type
ヘッダはボディパートに含むデータのコンテンツの形式を示す- レスポンスのボディパートにHTMLなどのコンテンツを格納する